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持続可能な社会に貢献する貝殻を利用した微生物制御技術の開発(管理栄養学科/バイオメディカル研究センター 教授 澤井 淳)  

いま、貝殻に注目が集まっています。貝は貝殻を付けたまま流通する場合、貝殻を外して中身だけが流通する場合がありますが、「貝殻」の大部分は廃棄されることになります。

日本において、貝殻で特に問題となっているのがホタテ貝で、年間約40~50万tの貝殻が産業廃棄物として扱われています。国内最大の産地である北海道では、山積みになった貝殻による悪臭の発生や、一部残っている内臓に含まれる重金属の溶出による土壌および地下水の汚染が環境保全上の問題になっています。貝殻の主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)という物質で、高温で焼成することにより酸化カルシウム(CaO)へ変化します、この酸化カルシウムが微生物の増殖を抑え殺菌する力(抗微生物活性)を発揮します。この焼成した貝殻は、細菌、カビ、ウイルスなどに活性を示し、食品分野では殺菌や保存性の向上、環境分野では環境の殺菌・抗菌、土壌改良などに応用されています。また医療分野でも、傷口の消毒や焼成貝殻のナノ粒子を含む軟膏の有効性が確認されており、応用が期待されています。海外でも貝殻の抗微生物活性の研究は、盛んになってきています。地中海沿岸の国では、ホタテ貝ではなくムール貝を同様に使って、食品保存などに応用しています。

管理栄養学科/バイオメディカル研究センター 澤井 淳 教授

貝殻を殺菌や抗菌といった「微生物制御」の分野で利用することにはもう一つ特徴があります。それは貝殻が循環型の材料ということです。現在、さまざまな有機系抗菌剤が、各地の河川で検出されています。これは私たちが日々使用している、薬や化粧品などに含まれるものです。これらの抗菌剤より川にすむ微生物が抗菌剤に対して耐性をもつなど、生態系に、そしてめぐってひとへの悪影響が懸念されています。

一方、貝殻は海の成分が濃縮したものです。上に示したように「産廃」として扱われる貝殻は焼成することにより、抗微生物活性をもつ「資源」に変えることができます。この焼成した貝殻粉末を食品、環境や医療の分野で使用します。その結果、焼成プロセスで、CaCO3→CaO+ CO2のようにCO2を出してCaOに変化しますが、CaOは使用後環境中に排出されると空気中のCO2を吸収して、抗微生物活性のないもとの貝殻の成分であるCaCO3に戻ります。海の成分からできたものを、食品、環境や医療で使用し、河川等を通して再び海にもどすのです。このように循環できる材料「貝殻」はSDGsの観点から見ても、きわめて模範的な材料・資源といえます。


▼本件に関する問い合わせ先

研究推進機構 広報担当

E-mailken-koho@ccml.kanagawa-it.ac.jp

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