CHEMISTY 応用化学科
環境、医療、食品、エネルギー等、実社会に応用する力が身につく
応用化学は環境、エネルギー、医療、生物工学など、応用分野が大変広い学問です。そのため、就職先も食品メーカー、化粧品メーカー、医薬品中間体メーカー、化学プラントなど、多岐に渡ります。応用化学科が養成するのは、化学の分野を通じて得られる総合的な「科学的思考」を持って課題に取り組み、解決方法を模索できる人材です。実社会で求められるコミュニケーション力や協調性に富む人材の育成にも力を注いでいます。カリキュラムでは化学への興味をかき立て実践力を養うため、実験を多く用意しています。専門分野として専門デザイン科目を深く学ぶ一方で、選択科目の自由度を大きく取り、学生が自由な発想で学びたい科目を学べるよう配慮しています。特徴的な取り組みとして、米国に留学し、英語で化学の専門教育を学ぶ「海外化学研修」があります。6か月間の留学を含めて4年間で卒業できるプログラムです。応用化学科における日々の教育、研究についての様子が学科独自サイトに教員ブログとして掲載されていますので、こちらもあわせてご覧ください。
特徴的な教育・プログラム
実践から学ぶカリキュラムを配置しています
応用化学科のカリキュラム、教育の特徴は、「実践から学ぶ」ことにあります。1年生から4年生までのすべての学年に「研究」や「実験」の科目を配置しています。これらの実験科目を通じて、単なる技術だけでなく、その実験の背景までを学びながら、基礎や専門的な知識の修得に努めています。また3年生では、これまで習得してきた知識や技術を活かし、実験方法を考え、実践する授業も設置してあります。試行錯誤をしながら、問題解決能力の育成に努めています。
基礎学力の修得を重視しています
カリキュラムでは1年生から基礎学力を重視した教育を行っています。1年生には「化学基礎演習」などの化学の基礎を学ぶ機会が多くあります。専門の科目においても、基礎から学ぶ講義を配置してあり、「実践的に化学の知識を身につけたい」だけでなく『化学がちょっと苦手、でも化学を学びたい』という場合でも、卒業までに十分分な基礎学力を身につけることができます。
社会人としての基礎的な能力が身につきます
基礎学力の習得するのみでなく、あらゆる分野に応用する力が身につきます。社会に出てから必要となる問題発見能力やそれを解決する能力、また他者との相互のやり取りが可能なコミュニケーション能力を有する技術者として卒業します。これらの育成のために、新たな課題解決に取り組む授業や、実践的なプレゼンテーションを学ぶ授業が多く配置されています。4年間を通じて"自ら考え、自ら実践できる人材"の育成を目標としています。
教育目的と各種ポリシー
応用化学分野の基礎知識を身につけ、科学分野の技術を通じて人類・社会に貢献できる科学技術者および指導者 の育成
ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)
1 .創造的思考力
(コース共通)
( 1 )応用化学の基礎・専門知識を応用・発展させて、応用化学分野の問題を発見・解決し、新たな価値を生み出 すことができる。
( 2 )応用化学に関連した種々の現実的課題に対して、専門知識を活用し解決方法を明らかにして、課題を解決す ることができる。
( 3 )応用化学の実験、研究において、自らやるべきことを見つけ、計画をたてて実施することができる。 (教員養成コース)
( 4 )応用化学の知識・技術に基づいた教材開発や教育指導ができる。
2 .チームワーク
( 1 )応用化学の基礎知識・技能や応用について、わかりやすく説明ができる。また、応用化学に関連した課題に 対する自分の意見を伝え、相手の意見を理解することができる。
( 2 )応用化学分野の共同研究やプロジェクトにおいて、自分の役割を把握して行動することができる。また、社 会人としてのルールを理解して行動することができる。さらに、工学技術者に求められる倫理を理解してい る。
3 .基礎学力
( 1 )応用化学の理解に必要な基礎学力をもち、応用化学の基礎的な知識・技能を理解している。 ( 2 )科学技術者の素養としての理数・情報分野の基礎知識とリテラシーを理解している。また、社会や多様な文 化に関する基礎知識を理解している。
1 .創造的思考力
(コース共通)
( 1 )専門科目の『ユニットプログラム』科目群でのプロジェクト型教育で応用化学の基礎知識・技術を応用する 方法を学ぶ。また、「卒業研究」での問題解決型教育で技術的問題を発見・解決することを学ぶ。 ( 2 )専門科目に『医薬、生物』、『環境』、『エネルギー』の応用技術に関する科目群を配置して、これらの講義、 演習をとおして応用化学分野の課題解決のための専門知識・技能を修得する。
また専門科目の『実験』『ユニットプログラム』の実験、実習をとおして専門知識・技能を活用して課題解 決する方法を学ぶ。
( 3 )「卒業研究」での問題解決型教育の中で、実験、開発、研究における目的設定と計画にもとづく実施方法を学 ぶ。
(教員養成コース)
( 4 )共通基盤教育科目(教育の基礎的理解に関する科目等)および専門科目(教職科目群)に教育や指導にかか わる科目を配置し、これらの講義や演習を通して高校(工業)の免許取得に必要で、教員として基礎となる 知識やスキルを修得する。
学修成果の評価方法
専門科目の講義では試験、レポート、演習で評価して、『実験』、『ユニットプログラム』ではプロジェクト実施 状況をレポートにて評価する。「卒業研究」では論文、研究発表により複数の教員で総合的に評価する。 2 .チームワーク
( 1 )共通基盤教育の『導入系』、『言語応用系』科目群での講義、演習をとおして、日本語によるコミュニケー ションとプレゼンテーションの基本技術を修得する。また、国際的なコミュニケーションの基礎となる英語 基礎力を『英語基礎系』科目群の講義、演習で修得する。さらに、専門科目の『ユニットプログラム』、『実 験』科目群での応用化学に関連した協働作業とプレゼンテーション実習により、知識や意見の伝達、質問方 法を修得する。
( 2 )共通基盤教育の『キャリア系』科目群の講義、演習をとおして社会のルールを学び、『倫理系』科目群の講義 をとおして工学技術者倫理を学ぶ。また、専門科目の『ユニットプログラム』、『実験』科目群におけるグ ループ作業をとおして、応用化学分野の共同作業での役割と期待される行動について学ぶ。 学修成果の評価方法
共通基盤教育では試験、演習とプレゼンテーションにより評価して、『ユニットプログラム』などではグループ 作業実施態度およびレポート、プレゼンテーションにて評価する。
3 .基礎学力
( 1 )専門基礎導入科目群により自然科学と応用化学分野を学ぶ上で必要な数学、力学、化学を修得する。また、 専門基礎科目の『自然科学と応用化学の基礎学力を修得する科目群』で自然科学、応用化学の基礎学力を修 得する。
( 2 )共通基盤教育の『数理情報系』、『人文社会系』、『健康・スポーツ系』科目群の講義、演習、実習をとおして、 自然、社会、多様な文化、グローバル化する社会に関する基礎知識を修得する。
学修成果の評価方法
共通基盤教育科目、専門基礎導入科目、専門基礎科目の試験、小テスト、レポート、演習にて評価する。
4年間の学びの流れ
学びの種類に応じた4つのコース
応用化学科では4つのコースを設けています。 1年生からいずれかのコースに所属して、それぞれのコースに配置された科目を履修していきます。
化学応用コース【幅広い知識で社会人能力も磨く】
化学応用コースは応用化学および自然科学分野の基礎力を十分に身につけ、更には専門分野を幅広く学び、化学全般に対して広い視野を身につけます。専門分野では自ら興味のある科目を中心に履修します。
コース履修生は、社会と化学の関連性についても学び、社会に出てからの必要な知識を身に着けます。将来像を照らし合わせながら、カリキュラムを履修することになります。
いろいろな資格の取得にも取り組めるように、検定プログラムが配置してあり、単位を認定しています。
総合化学エンジニアコース【プロの技術者になる!】
日本技術者教育認定機構(JABEE)の基準に沿った技術者教育を実践するコースです。コース修了生は、技術者として必要な教育を修了していることが国際的に認められ、国家試験である技術士の第1次試験が免除されます。技術士補に相当する「修習技術者」の資格が授与され、直接、実務研修に入ることができます。コースへの配属は入学直後に行い、ある特定の専門分野で学問を深く追究します。3年次に3つの専門デザイン(マテリアル、環境・バイオ、エネルギー化学)の内の1つのデザイン分野(専門分野)を選択し、それぞれの専門分野に配当された専門科目や関連する専門科目の中から集中的に履修します。
医生命特別専攻コース【研究者を目指す!】
応用化学科ではスーパーサイエンス特別専攻コースとして、医生命特別専攻コースを用意しています。高度な医療技術発展に対応する人材を輩出すべく、学科のカリキュラムに加えて、医薬品分野で必要な専門的な科目を配置しています。海外研修が必須科目です。医薬生命分野で国際的に活躍できる技術者、研究者を育てます。専門基礎科目も一定レベル以上の学力が必要ですが、入学してからも、このコースに配属する事が可能です(成績による)。卒業時にはTOEICテスト換算で600点以上を目指します。
教員養成コース【教員を目指す!】
応用化学科の教員養成コースは、高校(工業)の教員を目指す方のために設けられました。コース設置前から多数の卒業生が高校(工業)の教員として活躍しており、新たに教員養成コース生を対象とした科目を追加する等でサポート体制を強化しています。また、教職課程にも登録するため、高校(理科)および中学(理科)の免許取得も目指せます。専門科目では、各学年での化学実験にて技能とコミュニケーション能力を磨くことができます。さらに、「機器分析ユニットプログラム」や「企業における課題と解決を学ぶ」等の社会人能力育成を目指した科目履修を通して、化学だけでなく社会的にも実践的な教員の養成を目指しています。教職に関する科目の一部が卒業要件に含まれるなどの利点があります。
一人ひとりに寄り添った学習支援
学ぶ意欲を高める科目を配置しています
1年生時には週に1回、ホームルームに準じる授業として「目的設定能力を涵養(かんよう)する」と「目的意識を明確化する」を設置しています。大学生としての基本スキルから個人面談、外部講師によるサイエンス講座、専門分野への動機付け、社会人基礎力講座など、2年次以降の学修や卒業後も見据えた指導をしています。
いつでも相談できる少人数クラス担任制度があります
初学年のときの学習のつまづきをなくすために、細やかなクラス担任制度を設けています。学生10名前後に対して教員1名の担任制をとっています。1人ひとりに目が届く綿密なサポート体制により、学生生活に対する不安を少しでも和らげることができるよう、教員が一体となって支援しています。
個人のスタイルで学習ができます
個人のスタイルで学習できます。コンピュータとプリンターが完備された学習支援室がいつでも使えます。ちょっとレポートを仕上げたいとき、授業の空き時間の予習・復習に。飲み物を飲みながらゆったりと自習できます。また自習だけでなく学科の教員に連絡すれば、直接指導も受けられます。学科専用無線LANもあるので別途に用意された1FロビーでもPCを用いて学習できます。
学習成果を振り返り、次につなげます
学科のカリキュラムは、応用化学の分野で十分な知識や能力を有して卒業できるように配慮されています。卒業時までに必要な力を身につけるために、今の自分の学習成果を振り返り、達成度を確認するパーソナルマスタープランを用意しています。各科目の成績から自分がどの程度力が身に着けたか、学期毎に振り返り、次の学期の学習に役立てます。
学科専用クラウドシステムもあります
クラスのイベント情報から講義資料のダウンロード、授業の連絡、学生同士のグループ活動など使い方はさまざまにあります。近年重視され始めた本格的なオンライン授業にも対応しています。その他「学科専用クラウドシステム」や「学科専用SNS」で連絡や相談ができます。システムを利用した定期的な学生アンケートによる要望を早期に反映したり、パーソナルマスタープランの電子化も実現。卒業後もSNSでつながりますので末永く支援できます。
3つのデザイン系専門領域
応用化学は、環境保全の分野はもちろん、限りある資源の有効活用への貢献も期待されています。さらに、医療、生物化学、エネルギー化学など化学技術を活かせる範囲は拡大しています。本学科では、社会で必要とされている専門分野を網羅する3つのデザイン系専門領域を設定しており、それらに対応した研究がそれぞれの研究室で行われています。
3つのデザイン系専門領域の概要は以下になりますが、デザイン別の研究室紹介が学科独自サイトにございますのでこちらもあわせてご覧ください。
環境・バイオデザイン
環境分析、汚染物質除去、有害物質検出法の開発、温暖化防止策など
有害化学物質による環境汚染問題の解明や、環境汚染物質の除去方法の開発など、環境の現在を知ることから、修復する方法論を構築することや、環境負荷の少ない新たな化学システムを考案することを行っています。
主な研究テーマ:廃棄物をベースにした高機能性ポリマーの作成/廃棄される物質をエネルギーや有用な物質に変換するシステムの開発/環境汚染物質のモニタリング/未知の環境汚染物質の検出/簡易環境分析方法の開発/植物を用いた環境浄化 など
エネルギー化学デザイン
エネルギー源の探索、電池開発など
クリーンなエネルギー源をもとめて様々な化学エネルギーの開発を行っています。燃料電池や色素増感電池など化学の力を利用した新たなエネルギー源の創製や、その効率化を行っています。またエネルギーの有効活用に向けたあらたなシステムの開発を行います。
主な研究テーマ:二酸化炭素を利用した新しい化学反応系の探索/色素増感太陽電池および直接アルコール形燃料電池の開発と発電特性の向上/二酸化炭素を分離しつつ発電するシステム/水素を産生する極限微生物の検索 など
マテリアルデザイン
医薬品合成、活性評価、機能性材料の開発など
副作用の少ない医薬品の候補化合物や、抗がん剤の候補化合物について、その化学構造をデザインし、実験で効果を確かめる研究を行っています。医薬品の種となる新たな化合物の合成、医療現場で用いられるポリマーの研究などを中心に、ヒトに役立つ新たな化合物を提案します。
主な研究テーマ:抗酸化作用を有する物質の機能の発現と制御/環境中で容易に分解する新規プラスチックの開発/生物を模倣した構造色の発現する新規材料の開発/新規フォトクロミック材料の開発、長残光性蛍光体の創製/ケミカルループ反応に利用可能な酸素キャリアの開発と最適化/アミノ酸を基にした新しい有機医薬品の創製と効果/呈色する新しい有機化合物の合成と性質 など
資格取得サポート
国家試験「技術士」第1次試験が免除される総合化学エンジニアコース
2006年に技術者のグローバル化に対応するべく、応用化学科に総合化学エンジニアコースを設置しました。このコースは日本技術者教育認定機構(JABEE)による認可を受けたプログラムで、定期的に外部審査を受けて質を維持し続けています。コース修了生には国家資格「技術士」の第1次試験が免除される「修習技術者」の資格が与えられます。
取得可能な教員免許状
・中学校教諭一種免許状 理科
・高等学校教諭一種免許状 理科
・高等学校教諭一種免許状 工業
その他の資格については以下のリンク先をご覧ください。
資格取得
施設紹介
「電気・化学実験棟」の1・2階には応用化学科専用実験室が設置されており、各種実験科目(合成化学実験、物理化学実験、生物化学実験、応用化学実験)を行っています。