看護学科
地域医療機関との連携のもと
看護実践力と豊かな感性を身につける
少子高齢化により、地域における医療福祉の拡充をめざす「地域包括ケア」の重要性が向上。さらに災害医療や情報通信技術の活用など、看護師にはこれまで以上に多様な能力が必要とされています。そういった社会の看護ニーズに応えるため、看護学科では2022年度にカリキュラムを刷新。連携力や思考力を高めるための科目や工科系大学の強みや特徴を活かした科目、大規模災害時の看護を学ぶ科目などを設置しました。次代の看護師を育成すべく、幅広い学びと丁寧な指導を通して、一人ひとりの看護実践力を磨いていきます。
学びのキーワード
- ・人々の暮らしを支える看護
- ・地域医療/地域福祉
- ・人々の健康促進
- ・災害に強い地域づくり
- ・ICTを活用した医療
- ・多職種連携/チーム医療
- ・公衆衛生
- ・在宅看護/訪問看護
- ・養護教諭
- ・医療系国家資格
学科の特長
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01 より高度な専門性をもつ
看護師をめざして看護業界では近年、特定の医療分野や現場業務に強い「スペシャリスト」が注目を集めています。特定の専門看護分野の知識・技術を深めた「専門看護師」や、熟練した看護技術と知識をもつ「認定看護師」などが中心で、取得には数年間の実務研修が必要ですが、医療現場への高い貢献を叶えられます。そのためにも卒業後も学び続ける高い意欲が、いまの看護師には求められているのです。
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02 地域の健康を地域で支える
未来をつくる少子高齢化が進む中、これからの医療・看護の世界で重要なのが、地域医療や地域包括ケア。つまりは、その地域に住む人々の健康を、地域の医療体制で支えていく体制づくりです。そのためには、病院だけでなく、在宅看護や福祉施設、健康促進のための行政の取り組みなど、幅広い職業の人たちが協力し合うことが大切。看護師にも、看護だけではない幅広い知識と考え方が求められます。
学科長メッセージ
神奈川県は看護師不足が深刻で、本学の看護学科も地域の医療機関の強い要望に後押しされて2015年に設置されました。2020年4月から、臨床工学科、管理栄養学科と統合し、健康医療科学部看護学科となり現在に至っています。2024年3月に6回生が卒業しこれまでに395名を送りだしています。
少子・高齢社会に突入し、医療提供体制の変化、地域包括ケアシステムが推進される医療動向の中で、また、近年のコロナ感染禍においても、人々の健康を支えていく看護の役割はますます重要となっています。多職種連携の中でケアを受ける人が主体的に参加できるように連携・協働する力や、質の高いケアを提供する力はその基盤となります。2022年度より、新カリキュラムがスタートしますが、「コミュニケ―ション論」「看護セルフマネジメント論」「看護キャリアマネジメント論」など新たな科目を設けています。当学科の教育目的にあわせ、「インタープロフェッショナルワーク論」や「看護研究」など連携力や思考力を高めるための科目を設置しています。さらには工科系大学の強みや特徴を活かした「看護のための人間工学」「看護と医療機器」や、大規模災害時の看護を学ぶ「災害看護学」「災害看護活動論」など特徴ある科目を設けています。さらには看護実践力教育を重視した看護統合演習等の強化、ICT(情報通信技術)を使いこなせる情報リテラシー教育等の科目内容を吟味しています。実習は圏央~県西地域における各施設でのきめ細かで充実した指導、多様な健康ニーズに応えられるよう保健師課程の設置をしています。多様な人々と関わり、科学的に看護を考え、看護大学生として、人間力を高め成長していきましょう。本看護学科では皆さまの可能性を全力で支援していきます。
看護学科学科長 新実絹代
学科の学び
学びの流れ
特色ある教育
地域包括ケアを学び、
これからの地域医療を支える存在に
地域の保健医療福祉体制の充実が急がれるいま、神奈川県の看護師不足や地域医療機関からの要望を受け、2015年に看護学科は設立されました。これからの看護師には、医療機関はもちろんのこと、在宅、各種施設、行政などを含めて、さまざまな組織が連携して地域医療に貢献することが期待されています。本学科でも、地域医療を支える人材の育成を第一として、業種や所属機関の枠を越えて連携できる看護師としての素養と能力の習得をめざします。
在宅医療や災害看護など
幅広い現場で活躍できる力を培う
看護師が活躍する舞台は、病院等の医療機関に限られません。現在では在宅医療や老人ホームなどの各種施設、災害現場など、看護師へのニーズは多様に広がっています。そういった社会の要望に対応すべく、「医療機器と在宅技術」や「災害看護学」といった幅広い専門科目を実施し、さまざまな現場で活躍できる力を養います。また看護師に加え、保健師や養護教諭の資格取得も可能で、地域福祉や教育の現場でのキャリアをめざすこともできます。
“工科系大学の看護学科”
ならではの学びを実現
電子カルテの活用や画像診断、人工知能の医療への応用など、近年の医療現場ではICT(情報通信技術)の活用が急速に進んでいます。情報学部を擁する神奈川工科大学では、日々の学びや大学生活におけるICT化が進んでおり、キャンパスライフを通じて、卒業後のキャリアで活きるICTへの理解を深めることができます。また「看護のための人間工学」など“工科系大学の看護学科”ならではの科目が用意されていることも、特徴のひとつです。
資格取得サポート
本学科では日々の授業が国家試験対策となるように計画されたカリキュラムと合わせて、教員やアドバイザーによる充実したサポートを用意。また国家試験ガイダンスや国家試験対策講座などを実施し、1年次から、学生一人ひとりの合格までの道のりを支援します。また看護師と合わせて、保健師や養護教諭二種免許の資格・免許取得をめざすこともできます。
国家試験対策
看護学科の国家試験対策は、1年次より学年に合わせ、看護教員や業者による国家試験ガイダンス、国家試験対策講座、全国模試の実施など手厚い対策を行いながら合格を目指しています。
看護医療棟の4階には国家試験対策室を備え、国家試験対策に関連する書籍が常時閲覧できるようになっており、自習室として活用されています。また、勉強の方法、弱点や傾向など教員に相談できる環境作りをしています。
国家試験合格の鍵は、日々の学習の積み重ねになります。上手に活用し、合格に向けて頑張っています。
取得できる資格
- ・看護師(国家試験受験資格)
- ・保健師(国家試験受験資格)※1
- ・養護教諭2種免許 ※2
- ・第一種衛生管理者(保健師免許取得後)
- ※1看護師に加え、保健師の受験資格を得る学生は最大20名。
- ※2保健師免許を取得するとともに、指定科目を履修する必要があります。
施設紹介
主な実習施設
看護師資格を取得する上で、大きなウェイトを占めるのが看護実習です。看護学の領域ごとに、病院、老人保健施設、訪問看護ステーション、保育園などで実習を行うことが必要となります。神奈川工科大学においては、地域の医療機関の応援、協力のお蔭で、本学を中心に、半径5kmに36.7%、半径10kmにおいて90%の実習施設を得ることができています。病院では、厚木市立病院、海老名総合病院、伊勢原協同病院、東海大医学部附属病院、東名厚木病院、愛光病院、秦野赤十字病院、国立相模原病院等の協力を得て実施していきます。また、老人保健施設や訪問看護ステーション、各種社会福祉施設についても近隣で対応をします。このことは、看護の勉強を進める上で、時間的、経済的、また肉体的にも大きなメリットとなります。
看護医療棟
新設した看護医療棟内には、看護学科関連施設として、4つの実習室およびこれをサポートする2つの準備室、個別演習室があります。
基礎・精神看護学実習室
ベッド21台、各種人体モデルや種類別の注射シミュレータなどの実習機器・器具があります。
成人・老年看護学実習室
ベッド15台、 各種演習用人体モデル、 心電計などの実習機器・器具があります。
母性・小児看護学実習室
沐浴槽、新生児ベッド、小児モデル人形、乳児・幼児用ベッドなどの機器・器具があります。
在宅・公衆衛生看護学実習室
車いす、 歩行補助機器、 在宅モデル室、 介護用品などの実習機器・器具があります。
教育目的と各種ポリシー
- 知識・リテラシー
- (1) 看護専門職として、その専門分野における基本的な知識・技能を体系的に理解している。
- (2) 看護専門職の素養としての理数・情報分野の基礎知識とリテラシーを理解している。また、人間や社会、多様な文化に関する基礎知識を修得している。
- 課題解決力
- (3) 看護学分野に関する基礎的な知識と基本的な技術を応用・発展させて、看護学の進歩に即応しつつ看護や人々の健康に関連した問題を発見・解決して、新たな価値を生み出すことができる。
- (4) 看護や人々の健康に関連した様々な現実的課題に対して、どのような状況下においても専門知識・技術を活用し、専門職としての責任を自覚して、課題を解決することができる。
- 学修に向き合う力、看護専門職としての人間性
- (5) 看護専門職として主体的、自律的に活躍するためのコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、また他の保健医療福祉職と連携・協働する力を身に付けている。
- (6) 看護専門職として期待されている自分の役割を把握し、行動することができる。また、看護専門職としての職業倫理を理解し実践することができる。
- 知識・リテラシー
- (1) 共通基盤教育の「数理情報系」、「人文社会系」、「健康・スポーツ系」科目群の講義・演習・実習を通して、自然・社会・多様な文化・グローバル化する社会に関する基礎知識を修得する。
- (2) 専門基礎導入科目群の「看護のための人間工学」「コミュニケーション論」などの講義・演習により、看護学分野の理解に必要な基礎知識を修得する。また、専門基礎科目の「人体の構造機能・疾病と回復促進」科目群の講義を通して、看護専門職の基礎となる知識を修得する。さらに、「健康支援と社会保障制度」科目群の講義により、保健・医療・福祉の基本概念や手法を学ぶ。
【学修成果の評価方法】
共通基盤教育科目、専門基礎導入科目、専門基礎科目の試験・レポート・演習により評価する。
- 課題解決力
- (3) 専門科目の「人間の発達段階と看護活動」科目群の講義、実習をとおして看護の統合と応用ができる実践能力を修得し、看護学分野の基礎知識・技能を応用して新たな問題を発見・解決することを学ぶ。専門科目の「人間の発達段階と看護活動」科目群の講義、実習をとおして看護の統合と応用ができる実践能力を修得し、看護学分野の基礎知識・技能を応用して新たな問題を発見・解決することを学ぶ。
- (4) 専門科目群の講義、演習により課題解決のための専門知識・技能・態度を修得する。また、専門科目群の実習での実践的体験型教育と「看護研究」の実践的課題解決型教育により課題を解決する方法を学ぶ。さらに、専門科目群の実習での実践的体験型教育と「看護研究」の実践的課題解決型教育の中で、看護実践や看護研究における目的設定と計画に基づく行動を学ぶ。
【学修成果の評価方法】
専門科目の講義では、試験・レポート・演習により評価して、「人間の発達段階と看護活動」科目群での実施状況を、レポート・看護過程・看護活動により評価する。また「実践総合演習(OSCE)」の実施状況、「看護研究Ⅱ」の研究計画書作成と発表に対して複数の教員で総合的に評価する。
- 学修に向き合う力、看護専門職としての人間性
- (5) 共通基盤教育の「導入系」、「言語系・言語応用」科目群および「情報・AIリテラシー」の講義・演習を通して、知識や意見の伝達と傾聴の方法の基礎を学ぶ。また、国際的なコミュニケーションの基礎となる英語基礎力を「言語系・英語基礎」科目群の講義・演習で修得する。さらに、専門科目群の実習での協働作業とプレゼンテーションにより、多様な専門職との連携の必要性を実感し、また「インタープロフェッショナルワーク論」により体験学習を行い、チームで働くことが多い医療職に必要な「協調性」や自分の意見をわかりやすく「発信する力」を修得する。
- (6) 専門科目の「看護の基本」科目群の講義・演習・実習を通して、看護専門職として必要な倫理観と責任感を学ぶ。また、専門科目群の講義・演習・実習を通して、看護専門職が活躍する場での自分の役割と期待される行動について学ぶ。
【学修成果の評価方法】
共通基盤教育では、試験・演習・プレゼンテーションにより評価する。専門科目の講義・演習・実習では、グループメンバー・患者・医療職者等との関わり方の評価、レポート、プレゼンテーションにより評価する。看護専門職としての職業倫理・ルール・約束・マナーの理解度は、試験・レポート・看護学実習での行動・面接により評価する。
求める人材像
本学のAPに該当し、また次の 1~3 に該当する人および該当しようとする人を求めます。
- <知識・リテラシー> 看護専門職の素養の理解に必要な理数・情報の基礎学力を高めようとする意欲がある。
- <課題解決力> 看護専門職の素養としての基礎知識・技能を活用し発展的に物事を考えようとする意欲がある。
- <学修に向き合う力、看護専門職としての人間性> 粘り強く学修・探究活動・実習等に取り組む意欲があり、社会からの要請に応えようとする強い意識を有している。"
選抜の方法
看護師をめざす上で必要な高校段階までに身に付けた基礎学力や看護師をめざす意欲を把握するため、総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜を実施します。
選抜の詳細
面接や実験の内容、学力試験科目等の詳細は、大学案内、本学ホームページによりお知らせします。
PICK UP
神奈川工科大学 看護生涯学習センター
神奈川工科大学看護生涯学習センターは、看護分野の人材育歳、キャリア開発など生涯学習を支援することを目的として2019年度に開設し、日本看護協会認定看護管理者教育機関として認定を受け「認定看護管理者教育課程:ファーストレベル」を実施しています。また、2023年度から「認定看護管理者教育課程:セカンドレベル」を開設しました。
学科最新情報(2024年12月)
11月26日(火)に看護研究Ⅱ発表会が行われました。4年生が4月から指導教員とともに、看護研究に必要な基礎的能力を身につけるために取り組んできました。本年度は65演題の発表があり、いずれの研究計画も看護の課題を研究的に取り組める内容になるまで、練磨されていました。
当日は、2021年9月に大学間協定を結んだベトナムの国立タイビン医科薬科大学の先生方に、老年看護学領域の発表会会場へお越しいただきました。現在看護学科では、国際協力機構(JICA)の事業委託を受けて、ベトナムの看護教育に老年看護を導入するためのプロジェクトを実施しています。訪日研修中であった看護学部基礎・管理学領域長PHAM THI NGA先生より、日本社会の高齢化事情に即した研究テーマで、かつ十分な文献検討がされていると、お褒めの言葉をいただきました。また、看護学部部長 TRAN THAI PHUC先生からは自国の教育にも取り入れたいとの感想が述べられ、タイビン省の名産品をいただきました。同会場にいた学生は、国際交流をするよい機会になりました。