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熱水処理で食物アレルギーの原因を取り除いたエビの開発(バイオメディカル研究センター/応用化学生物学科 准教授 小澤 秀夫)

タンパク質は、脂質と糖質と並ぶ3大栄養素の一つである。一方で、食物アレルギーの多くは、食物に由来するタンパク質が原因となっている。食物アレルギーの原因となるタンパク質の多くは、高温の水に溶けることが知られている。本研究では、熱水処理によりどの程度まで低アレルゲン化が可能か検討した。

(バイオメディカル研究センター/応用化学生物学科 准教授 小澤 秀夫)

はじめに

タンパク質は、脂質と糖質と並ぶ3大栄養素の一つです。一方で、食物アレルギーの多くは、食物に含まれるタンパク質が原因となっています。食物アレルギーの原因となるタンパク質の多くは、高温の水に溶けることが知られています。この性質を利用して、粉砕した魚介類からアレルゲンが抽出されることもありますが、比較的大きな状態のものを煮るという調理に近い条件ではどの程度までエビのアレルゲンが残存するのか疑問に思い、この研究を開始しました。また、アレルゲン表示の義務以下の食品と同等にまでエビからアレルゲンを除くことはできるのか検討しました。

研究のねらい

筋肉、卵、乳やその加工品は動物性タンパク質を多く含む食品です。筋肉にはトロポミオシンというタンパク質が含まれており、トロポニンとともに筋収縮を調節しています。我々はエビやカニの筋肉を食べますが、これらの生物のトロポミオシンは食物アレルギーの主な原因となることが一般に知られています。本研究では、トロポミオシンを熱水処理により除き、低アレルゲン化エビの開発を目標としました。(図)

図 熱水処理前のエビ

図 熱水処理前のエビ

研究開発事例

エビに対して、10倍量の熱水(100°C)で20分間処理することにより、エビ固形部に残存するトロポミオシン量を10分の1程度まで減らし、熱水に大部分のトロポミオシンを移行させることができました。調理においてエビを煮ると、条件によっては、固形物のエビと同程度の濃度のアレルゲンが煮汁に含まれうる、ということを本実験は示唆します。さらにエビからトロポミオシンを除くため、エビに対して加える熱水量を、10倍から2,000倍に増やしたところ、エビ固形部に残存するトロポミオシン量は逆に増加しました。正確な原因は不明ですが、実験条件のわずかな差異が予想外の結果をもたらしたと考えました。熱水量を2,000倍とし、さらに、圧力鍋を用い、より高温(121°C)の条件で処理することにより、エビ固形部のトロポミオシンの残存量を2%程度にまで減らすことができました。この処理をさらに2回(合計3回)繰り返すことにより、元の60万分の1にまでトロポミオシン含量を減らすことができました。これは、表示義務のない食品と同程度のトロポミオシンの含量となります。なお、表示義務のある原材料のタンパク質が食品1 gあたり10 μg以上含まれている場合、表示の義務があります。その定義に当てはめると、今回の処理を行ったエビを原材料として用いた場合においても、表示義務があることには注意が必要です。

今後の予定

より低コスト(短時間、低温、少量の水)での低アレルゲン化法を開発することが期待されます。また、近年、昆虫をはじめとした未利用の原材料について、本手法を活用し、ある程度、低アレルゲン化してから加工するなどの応用が考えられます。


▼本件に関する問い合わせ先

研究推進機構 広報担当

E-mailken-koho@mlst.kanagawa-it.ac.jp

 

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