鍵の偽造をみやぶる不可視画像認証技術(情報メディア学科 教授 西村 広光)
皆さんが普段使っている金属の鍵、安全なものでしたが、未来は安全ではなくなる可能性があります。3次元スキャナが小型化・高性能化してきて、数枚の写真があれば、簡単に鍵の形状を3次元に読み取れるようになってきました。4Kや8Kのテレビに鍵が映ってしまえば、その情報から鍵の形が読み取れるようになる可能性もあります。さらに読み取った3次元形状は、高精度な3次元プリンタを使えば数分で複製ができるようになりました。この技術の普及が進むと、今まで安全に使っていた金属の鍵が、安全に利用できない社会が来る可能性があります。
そんな未来の危険に対応する技術を我々は開発しました。それは、紫外線を利用して人間には見えない高精細な鍵表面の細かな傷を読み取り、画像認識技術を利用して、本物かどうかを判別する技術です。
紫外線を利用して金属鍵表面の情報を取得すると、平らに見える面にも無数の傷が見えます。これは、金属の指紋のようなもので、同じ模様はどこにもありません。この金属の指紋照合をすることで、鍵が本物かどうかを判別することができるのです。
昨年は、この技術をさらに発展させ、鍵を鍵穴に抜き差しした際にできる傷を読み取ることで、傷まで完全に複製されたとしても、直前に抜き差しした鍵でないと開けられない鍵システムの構築を行いました。
様々な技術が進歩しても、「生活の安全を守る」より最先端のセキュリティ技術を開発し安心・安全な社会に貢献していきたいと考えています。
情報メディア学科 西村 広光教授