音楽音響についての研究(情報メディア学科/ヒューマンメディア研究センター 教授 西口 磯春)
音楽音響学と呼ばれる学問分野では、従来の楽器の改良や新しい楽器の開発、楽器の演奏技術、バーチャルな楽器音源の開発、和音の与える印象などの音響心理など、音楽に関する色々なテーマで研究が行われています。
情報メディア学科/ヒューマンメディア研究センター 西口 磯春教授
ここでは、私たちの研究室で行っている音楽音響学の分野のさまざまな研究の例として、箏(こと)と呼ばれる楽器の材料や演奏技術に関連する研究を紹介します。下の図に示すように、箏には、甲と呼ばれる本体の上にある雲角と龍角の間に13本の絃が張られており、それぞれの絃には柱が立てられています。
箏の絃には伝統的には絹糸が用いられてきましたが、1960年代から化学繊維の絃の使用が拡大し、現在では化学繊維の糸が箏糸の9 割を占めています。化学繊維の糸は、気温や湿度の変化に強く、切れにくいというメリットがありますが、絹糸の音色や弾き心地とは明らかに異なります。私たちは第一線で活躍している箏の演奏家と協力して、この違いに着目し、最終的には音色がすぐれており、より弾きやすい絃の開発を目指しています。そのために、押し手と呼ばれる奏法に着目し、絃の材料特性と演奏時に必要な力との関係を明らかにしています。
下の写真は、押し手の時の演奏者の様子です、左手で絃を押し込んでいるのが分かります。
西口磯春,安藤珠希,古知悠太郎,"箏の押し手の物理モデルに関する検討,"
私たちの研究室では,この他,ネオヴィコード(neovichord)と呼ばれる新しい楽器の開発,ピアノの音響に関する研究,ローズピアノの物理モデル音源の開発なども行っています。
ネオヴィコードの構造等の紹介については
ネオヴィコードの演奏例については
ピアノの音響については
などをご覧下さい。