細胞観察システムにおけるAIを用いた異常細胞の自動検知および分類法の研究(電気電子情報工学科/バイオメディカル研究センター 教授 武尾英哉)
IPS細胞に代表される細胞の分化誘導や細胞培養の観察システムにおいて、AI技術を用いて観察画像中の細胞の異常変化の検知や異常の分類を自動的に行う研究を行っています。
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細胞の正常/異常を分類するシステムとして深層学習の一種であるCNN(Convolutional Neural Network : 畳み込みネットワーク)を用いる手法を研究している。実際にコンピュータ上でCNNを実現するライブラリ(関数)としてYOLOを使用して細胞の分類を行った。CNNは、あらかじめ与えた答えのわかっている学習用の画像セットからコンピュータが独自に学習を行ってAIを作成する。これを基に与えられた未知のデータについて分類を行うものである。
情報工学科/バイオメディカル研究センター 武尾英哉 教授
図1はYOLOの基本的な学習の流れを示した画像である。画像を細かい領域に分け各領域ごとに画素値やエッジを基にした特徴を作成、事前に学習を行ったクラスごとの特徴と照らし合わせることでクラスの特定を行う。この例では、自転車とその手前の犬と後ろの自動車を画面から自動抽出できてい
正常細胞/異常細胞の分類結果を図2に示す。正常細胞のみ青い四角で表示している。事前に正解のわかっている正常および異常画像を用いて学習させ、学習が終えたAIを使って他の未知の画像に適用させる。AIは判断の確信度を表すスコアを出力するので、その値の最も高いもの(この場合はどちらか一方)の分類を最終判断とする。
一方、正常およびスポット異常/蛍光強高度異常/細胞の輪郭異常/細胞全体異常/細胞全体&スポット異常の6分類の結果を図3に示す。
現在の性能は、画面にある全細胞の約9割は検出可能であり、その分類精度(6分類の正解率)は約8割である。CNNは画像の学習枚数により性能が変化する特性があるので、今後学習画像枚数を増やして性能向上を目指していく。