超臨界二酸化炭素を使ってマイクロプラスチックを分別します(先端工学研究センター/応用化学科 准教授 大庭 武泰)
近年環境問題として取り上げられるマイクロプラスチックに対応した、環境にやさしい分別方法を研究しています。
私たちの生活においてプラスチックは欠かせないものとなっています。プラスチックは様々な用途に応じてたくさんの種類が開発されており、役目が終わった際にどのように廃棄されるかが問題となってきました。これまでにも土壌中の微生物によって分解されるプラスチックも開発されていますが、近年、海洋や河川に微細なプラスチック(5mm以下)が大量にあることが確認され環境問題として大きく取り上げられています。
先端工学研究センター/応用化学科 大庭 武泰 准教授
マイクロプラスチックの生体への影響や環境での分布の把握、環境からの回収方法などが研究されていますが、いずれにしてもプラスチックを種類別にみる必要があります。
超臨界二酸化炭素とは、二酸化炭素を臨界温度(約31℃)臨界圧力(約7.4MPa)以上にしたもので、気体でも液体でもない超臨界状態になっています。この状態の二酸化炭素は特定の物質を溶かす能力があり、香り成分の抽出などに用いられています。また、温度や圧力を変えると密度が大きく変化する性質を持っており、これをマイクロプラスチックの分別に活用することにしました。
プラスチックはその種類によって密度が異なり、プラスチックリサイクルの現場では水を利用して分別しています。本研究では水の代わりに超臨界二酸化炭素を利用して、密度を変更することで浮くものと沈むものを分けることを目的としています。
分別に水を利用する場合、最終的には水とプラスチックを分ける必要があり、確実に分離してマイクロプラスチックの流出を防ぐことになります。超臨界二酸化炭素の場合は二酸化炭素を気体として回収することでプラスチックを回収できます。将来的には河川や海で採取したマイクロプラスチックを含む試料を、その場で迅速に分別して計量するシステムへの応用を狙っています。