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「仮想空間での自動運転 安全性評価手法の開発」に関する研究(先進自動車研究所 所長/自動車工学センター長 教授 井上秀雄)

井上秀雄 先進自動車研究所 所長/自動車工学センター長 

自動運転では、自然界の走行環境に対しセンシング能力の限界がわからず、どれだけやれば安全性保証したが言えない。本研究では電磁波原理から電波/可視光等の伝搬モデルを構築し、バーチャル空間で認識性能評価を可能にすることが目的である。

「内閣府 戦略的イノベーション創出プログラムSIP第2期自動運転(システムとサービスの拡張)」事業に、「仮想空間での自動走行評価環境整備手法の開発」として採択された研究テーマです。企業8社、2大学の産学官連携の大規模研究プロジェクトで、2018年12月から現在まで、神奈川工科大学がリーダ機関となり井上がプロジェクトリーダーとして推進しています。

現在の自動運転の安全性論証では、自然界相手の走行環境をセンシングするセンサ技術の物理的限界の検証が不十分で、どれだけやれば安全性保証したが言えません。又、産業界は、この信頼性・安全性評価には、実車走行の実績評価に頼らざるを得ず、莫大なコスト(人・物・金)がかかっており。天気予報の様な、検証データに基づく仮想環境シミュレーションでの評価環境構築が必要となっています。

このプロジェクトは、自動運転の安全性評価(Safety assurance)の観点からシミュレーションを中心としたバーチャルな評価プラットフォーム環境を構築し、システムの評価効率を上げようとするものです。その為には、自動運転システムその物をモデル化するだけはなく、自然界とも言うべき走行環境のモデル化も必要です。自動運転におけるセンサのモデル化は、特に重要で、ミリ波レーダーの電波、カメラにおける可視光線、Lidarと呼ばれるレーザー光としての近赤外光の、反射特性(再帰、拡散、鏡面反射など)や透過特性が、雨や霧、太陽光などの周辺照度、等周辺環境の影響で、どの様に変化するか気の遠くなるような物理現象を捉え、それぞれのセンサの電磁波原理に基づく長所と弱点を把握しなければなりません。

まだ、スタートしてから1年7ヶ月ほどの経過ですが、順調に成果もでており、産業界、各省庁、海外からも注目されています。図1、図2にセンサモデルシミュレーションの出力例を示します。近い将来、産業界がこの評価プラットフォームを使い、自動運転の安全性評価が進められ様、完成を目指して尽力していきます。

図1 Simulation model examples; Dynamic Lidar modeling

図2 Simulation model examples; Integration model on camera, Lidar, Radar,
and Automated Driving vehicle


▼本件に関する問い合わせ先

研究推進機構 広報担当

E-mailken-koho@ccml.kanagawa-it.ac.jp

 

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