太陽光で発電した電気をバス停ごとに充電していくEVバス(機械工学科 川島豪教授)
バス停ごとに充電する路線バスを提案しています。電池の重量が重くて実用化できないという電気バスの弱点を克服すると共に、地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出を削減することを目指しています。
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機械工学科 川島豪教授
路線バスをEV(電気)バスで運行すれば二酸化炭素の排出を50%程度に削減できます。さらに、再生可能エネルギーで発電された電気を利用して運行すれば二酸化炭素の排出を完全に抑えられます。しかし、Li-ion電池ですら蓄えられる質量当りのエネルギーはガソリンの1/100程度で、搭載できる蓄電池の制約からEVバスはなかなか実用化されません。蓄電池の改良とともに、ターミナル駅で電池を交換しながらEVバスを運行するシステム、停留所ごとに少しづつ充電していくシステムなどが検討されています。川島研究室では、停留所にのみ架線を張り、トロリーバスのように集電装置を有する車両が停留所に停車しているときおよび最もエネルギーを必要とする発進・加速時に架線から電力の供給を受けるようにすることで、搭載する蓄電装置の容量を軽減できるシステム(図1)、間欠充電式電気バスシステムを研究しています。
さらに路線バスのバス停が広範囲に分布していることに注目し、提案しているシステムが、単位面積当たりのエネルギーは小さいけれども、どこにでもある自然エネルギーを有効に活用できると考え、間欠充電式電気バスに再生可能エネルギーを利用することを提案しています。実現すれば運行中に二酸化炭素を全く排出しない公共交通機関となります。
提案しているシステムでは、乗客の乗降のためバス停に停車している20秒程度の間に、バス停周辺に設置された太陽電池(図2)などにより発電されたクリーンな電力をバスに急速充電します。現在、実用化に向けてガソリンエンジンから電気モータに載せ変えたEVコンバート車両(図3)による模型実験により走行中の基礎データを収集し、そのデータを基にEVバスシミュレータを作成し、様々な路線を走行するのに必要な蓄電池の容量を計算し、提案している間欠充電式電気バスシステムの有用性を確認しています。
図2_1 神奈川工科大学屋上
図2_2 壁面(右)に設置された太陽光発電パネル
研究室のホームページの「現在の研究」のページでは実験の動画も配信しています。