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食事の摂取が精神や身体に及ぼす影響を科学的に検証する研究(管理栄養学科 准教授 澤井明香)

日本の若者は欠食者が多く、長期欠食が健康を害する事は知っていても、自分が今、欠食した時の体の変化は自覚しづらいものです。研究室では食事が心身に与える影響を調べ、その大切さを示すことに取り組んでいます。

欠食の問題は、食糧難に苦しむ国も、食糧が豊富な国でも(例えば、宵っ張りの朝寝坊の食生活や、食の簡便化、孤食、貧困など)、様々あります。長期にわたる欠食が体の成長や学力へ及ぼす弊害は良く知られており、最近ではさらに、肥満の原因や、脳血管疾患の危険因子になることも分かってきました。食事を欠食すると、身体は、次の食事を摂るまでエネルギーの供給が無い中で、生命活動を維持しなければならず、随分時を経た後に食事を摂れば、今度は急激なエネルギー補給がなされます。朝食を欠食すると、前日の夕食から10時間以上もの間空腹ですので、その落差は激しいと思われます。

本研究室では、食事の摂取や欠食が心身に及ぼす影響を、科学的に調べています。実験食として準備した朝食(和食・洋食・流動食・砂糖飲料)や欠食時に、心電計や脳血流計などを装着して、暗算や顔認知課題(記憶した顔を大勢から捜す)を解答し、その前後の心電図や脳血流等の変化を観察しています。

これまでに、欠食日は、朝食摂取日よりも、課題解答中の脳血流や、心電計から分析した交感神経活性が異常に上昇することを観察し、論文として報告しました。また、その交感神経活性と脳血流との上昇の間の、有意な関係もわかってきました。交感神経には、血圧や血流を高める役割があります。和食を食べた時の課題前後は、これらの動きは緩やかです。つまり、欠食で長時間エネルギー供給がない時に課題を解くと、脳に栄養を送るために交感神経が活発に働き、脳の血流を急激に上昇させて、何とか対応したと思われます。一方、交感神経は興奮や闘争心、苛立つ時に上昇する神経でもあります。つまりキレやすい状況にもあるようですね。

このように、食事の有無が、同じ課題を解いた時に、神経や脳血流や気分に大きく影響することがわかりましたので、今後はさらに、食事の内容による違いも調べる予定です。

日本では、若者の朝食の欠食率は高く、特に20代男性では約3割も欠食者がいます。彼らは成人後に仕事が多忙で欠食になった場合もありますが、子どもの頃から欠食しがちの食生活を送ってきた人もいます。食の大切さを小さな頃から教え、学び、健康維持を心がける食生活をすることが大切です。

管理栄養学科 澤井明香 准教授


▼本件に関する問い合わせ先

研究推進機構 広報担当

E-mailken-koho@ccml.kanagawa-it.ac.jp

 

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