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上部集熱式サーモサイホンの制御システムの開発(機械工学科 川島豪教授)

平常時も非常時も太陽熱コレクタで集めた太陽エネルギーを地上に移送することのできる「外部電源を必要としない上部集熱式サーモサイホンシステム」を安定して稼働するための制御システムを開発しています。

機械工学科 川島豪教授
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 東日本大震災で日本における電力供給のあり方が問われ、再生可能エネルギーの一層の普及促進が求められています。加えて、2012 年より再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まり、本格的な再生可能エネルギーの時代が幕を開けました。一方で、原子力発電所からの電力供給が滞るなか、石油や石炭による火力発電所からの電力供給が増え、二酸化炭素に代表される温室効果ガスの排出が増加してしまいました。現時点で総排出量は削減に転じたものの、単位発電量に対する排出量は増加したままであり、温室効果ガスの削減は喫緊の課題といえます。

 この現状を打破するには、広く分布しているが低密度の再生可能エネルギーを有効利用する必要があります。日本では、何にでも使える電力に変換する太陽光発電が主流ですが、薄雲に太陽が隠れると途端に発電量が減少するなど、気象に左右されやすいうえ、変動を平滑化するために蓄電装置を用いると発電単価が上昇してしまうなど問題点を有しています。一方、温水など低温度の熱で利用するエネルギーも少なくありません。したがって、気象が安定しない日本において、気象に左右され難い太陽熱を有効利用できるシステムの開発は重要な課題です。そこで外部動力を使わずに熱エネルギーを移動させられるサーモサイホン(熱サイホン)、特に、低圧の管内で沸騰した循環水の気泡の浮力を利用して屋根の上に設置した太陽熱コレクタから地上に熱エネルギーを移動することのできる沸騰型上部集熱式(トップヒート式)サーモサイホンに注目し、その問題点である不安定な熱移動を、制御システムで解決し、太陽熱の有効利用を大きく推進させるシステムを研究しています。
 
 サーモサイホンの特徴は、温水を地上に移動させる際に外部動力を使用しないことですので、制御システムも外部動力を使用しないで駆動させることが重要です。具体的には、管内水の循環を利用した小水力発電、太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギーを利用したエナジーハーベスティングによりエネルギーを得ます。したがって、本システムは、平常時はもちろんのこと、外部電源を必要としないため外部電源が消失した非常時にも熱エネルギーを移動させられることが特徴であり、BCM(Business Continuous Management)にも有用なシステムとなります。

 本研究は、自然エネルギーの専門家である藤澤准教授、流体力学の専門家である川口助教との学内共同研究として実施しています。

機械工学科 川島研究室 紹介ページ

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