エッジコンピューティングを用いた大容量通信処理プラットフォームの実用化
実現する未来
■遠隔地からでもその場にいるようなライブ感、臨場感でスポーツやアーティストのライブイベントに参加できる
■誰もが自身の端末で8K高精細映像を手軽に編集・配信できる
■遠隔地からでも遅延の無い診断や内視鏡検査などが可能になる
社会的背景・課題
2030年代には、現在主流となりつつある5 Gよりも更に高度な通信インフラであるBeyond5G(6G)の導入が見込まれています。Beyond 5G(6G)の回線速度は5Gの10倍となるため、Beyond 5G(6G)ネットワーク端末を使えば、4Kの約4倍となる8Kの映像を撮影し、配信することも可能となります。8Kは「人間の視野の限界」とも言われており、没入感や臨場感が求められるスポーツやアーティストのライブイベント、遠隔診療、遠隔授業などで8 K高精細映像の利用が拡大していくことが見込まれます。そのような社会では、誰もが手軽に高精細映像をリアルタイム配信できるようなシステムが不可欠となってくるでしょう。しかし現時点では、そのためには高価な映像処理装置が必要となっています。
課題解決に向けた研究開発
リアルタイム配信では、カメラなどの端末で撮影している映像を切り替えたり、いったん蓄積して使えるシーンを切り貼りしたり、その上にテロップやCGを重ねて合成したりする編集作業が行われています。高精細な映像を処理できる装置は非常に高価なため、個人はもちろん企業でさえ設備投資として購入するにはハードルが高い現状があります。高精細映像処理技術をクラウド上でネットワークサービスとして提供できれば、利用者は必要な時間だけサービスを使えばよいため、ハードルがだいぶ下がります。そこで、エッジやクラウドなど汎用機で構成されているネットワーク上で、高精細映像の処理をリアルタイムで行うことができるプラットフォームの研究開発を進めています。
プラットフォームを実現するために必要な技術の研究開発には2014年度より着手しており、技術開発のマイルストーン毎に、実際のネットワークを使って正常に動作するかを確認する実証実験を行っています。今後も関係各所と連携しつつ、2025年度を目途にプラットフォーム技術を組み込んだ安価なアプライアンス製品の商品化を目指します。また、2030年度にはクラウド型リアルタイム編集サービスの実現を目指します。
特許・研究助成・プレスリリース等
- 国立研究開発法人情報通信研究機構の委託研究
「高臨場感通信環境実現のための広帯域・低遅延リアルタイム配信処理プラットフォームの研究開発(採択番号03101)」 - 2023年度 国立情報学研究所 公募型共同研究
「SINET6のエッジ処理部を活用した高臨場感映像通信環境の実現(23S0208)」 - プレスリリース
「生番組の8Kライブ映像ワークフローをオンライン上で実現 ―400Gbps対応のエッジ装置の8K非圧縮映像処理機能を活用」(2023.7.13)