コンピュータシミュレーション、画像認識技術、可視化技術などの情報メディア技術を用いて、その開発を支援する技術やツールの開発が本研究テーマの目的です。具体的には、薬剤やカプセルの体内での挙動を数値計算し薬剤効果を予測・解析できる生体力学シミュレーション技術、薬剤の効果を早期に自動診断するための人工知能を用いた画像認識技術、標的分子の設計を容易にするためのバーチャルリアリティによる可視化技術の開発をめざします。本テーマは情報メディア技術を駆使したバイオインフォマティクスに関するテーマであり、研究プロジェクトを通して、医生命やバイオ工学分野の研究者と協働して研究を推進してゆきます。
本研究テーマは、ナノテクノロジーによるバイオ機能材料開発を支援する情報メディア技術の開発を目的とし、次の3つのサブテーマで研究を実施してゆきます。
1:数値流体力学にもとづく薬剤やカプセルの挙動シミュレーションの研究 (担当研究者:服部)設計した薬剤やカプセルが体内でどのような挙動を起こすかをシミュレーションして、映像表示ができるシステムの開発を目指します。特に血管内を流れる血流の運動予測をテーマとして、流体力学モデルの構築、各種計算手法の比較検討、シミュレーション結果の表現方法について研究を行い、血管内の薬剤やカプセルの動きシミュレーションし、薬物効果予測の可能性を探ります。
2:体内のカプセル・薬物動態画像解析システムの研究 (担当研究者:武尾)新たに開発されたカプセルや薬物が投与後に体内で実際にどのように動き、作用しているのかをX線画像などから解析・診断できるシステムの開発をめざします。
3:高臨場感仮想空間での標的分子の設計システムの研究 (担当研究者:井上、上平)高臨場感表示が可能な没入型映像ディスプレイを用いて、分子モデルを人間サイズで表示して、標的分子の設計を直感的に行えるシステムの開発を目指します。そのために、分子モデルの表現方法、ユーザインタラクション技術について研究を進めてゆきます。
・仮想空間、数値流体力学、人工知能画像解析などの高度な情報メディア技術の応用によるバイオ機能材料開発の迅速・効率化
・流体力学モデルに基づくリアルな血流内運動シミュレーションシステム、体内のカプセル・薬物の動態画像解析システム、ライフサイズ(人間サイズ)で作業が可能なDDS用バイオ機能材料のための分子設計システム等の提案・開発
本研究で得られた知見について、各研究者が所属する学会等で発表を行い、独創性・有効性の面で高評価のものは特許申請、論文投稿,国際学会発表を積極的に行ってゆきます。また毎年、成果報告書を公表して、3年目と5年目終了時には学外向けのシンポジウムを開催する予定です。
研究の進捗状況および達成度の評価は学内評価委員およびが外部評価委員会にて毎年度末に行われます。