分子生物学的手法や有機合成の技術により新しい機能を付与したバイオ機能材料を合成し、その生理活性を評価することが本テーマの目的です。均一かつ開閉制御可能なかご状安定構造を持つシャペロニンタンパク質をナノカプセル素材として応用という新しい切り口でカプセル内包薬剤の開発、生理活性機能の迅速な評価法の確立、生体内局所送達技術などの周辺技術開発とあわせて、新たな医用材料技術の開発を目指します。
本研究テーマは、ドラッグデリバリーシステム(DDS)のためのバイオ機能材料の開発のため、図のように4つのサブテーマにより研究を推進します。
1:新規生理活性物質の探索・合成(担当研究者:髙村、飯田、山本)タンパク質カプセルに内包するドラッグとして、がん細胞のDNA損傷をターゲットとした抗がん剤、抗アポトーシス、抗アミロイド形成活性を有する天然化合物の合成・探索に取り組みます。
2:生理活性機能の解析(担当研究者:小池、澤井)分子間相互作用解析を生化学的手法で定量的に行い、機能の解析とターゲット分子の解析を進めます。
3:細胞送達技術(担当研究者:小池、清瀬)タンパク質性カプセルへのシグナル配列付与などによる修飾・加工を行い、局所送達技術の開発に取り組みます。また、実験動物を用いた生体内動態解析を、情報メディア技術の支援・連携のもとで行います。
4:迅速な計測技術の確立(担当研究者:飯田、澤井)固定化酵素のフローインジェクション分析技術(FIA)により、迅速な生理活性計測技術の開発に取り組みます。
図:研究体制・有機および無機合成、遺伝子工学、バイオセンシングなどの技術により、高い生理活性を持つ新しいカプセル素材および薬剤の開発
・情報メディア技術による分子設計支援を活用した高度でスピーディーな医用材料の設計と開発を行い、局所標的細胞に作用させるバイオ機能材料の開発
・新しい抗がん剤の合成、ナノカプセルを用いた細胞内送達評価、がん細胞への作用効果の計測技術の確立
本研究で得られた知見について、各研究者が所属する学会等で発表を行い、独創性・有効性の面で高評価のものは特許申請、論文投稿,国際学会発表を積極的に行います。また毎年、成果報告書を公表して、3年目と5年目終了時には学外向けのシンポジウムを開催する予定です。研究の進捗状況および達成度の評価は学内評価委員およびが外部評価委員会にて毎年度末に行います。
「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律等に関する法律」に基づき、神奈川工科大学応用バイオ科学部応用バイオ科学科を中心に、遺伝子組換え実験安全委員会を組織し、実施に際し遵守すべき安全確保の基準を定めています。