神谷克政 教授
神谷 克政 教授
(基礎・教養教育センター教員)教職教育センター所長
■学位:
博士(理学)
■研究分野:
計算科学/生物工学/生物物理学
■研究内容:
私はこれまで、高血圧に関わるタンパク質がはたらく仕組みや次世代半導体メモリが動作する仕組みをコンピュータ・シミュレーションの方法で調べてきました。その結果は、例えば副作用の少ない薬の開発や壊れにくい半導体メモリの設計につながっていきます。
最近では、環境中のヒ素を探す方法の1つとして注目されている微生物センサーの開発を他大学と共同で進めています。生物にとって毒性の高いヒ素は、地殻中に広く分布しているため、火山活動や微生物の活動等により環境中に放出されます。そのため、世界中で多くの人々がヒ素を含む井戸水を飲み、健康被害を負うリスクにさらされています。
私たちが開発している微生物センサーでは、微生物に取り込まれたヒ素が微生物中のタンパク質と結合すると、その分子構造が変わり、タンパク質の機能がスイッチする現象を利用します。私は、ヒ素がタンパク質に結合する仕組みをコンピュータ・シミュレーションの方法で調べることで、タンパク質のどこをどのように変異させればヒ素がうまく結合するか、それにより分子構造が変わって機能がうまくスイッチするか、などについての研究を進めています。
■担当科目:
基礎力学、物理・化学ユニットプログラム、教職概論
■卒業研究指導テーマ例:
・構造が似ている種類のステロイドホルモン生合成酵素が異なるはたらきを示す理由についての計算科学的な研究
・低温環境下にいる生物がもつ不凍タンパク質が凍結防止のはたらきを持つ理由についての計算科学的な研究
■自己紹介:
この度、教育学部を卒業してから23年ぶりに教職に関われることになりました。嬉しい気持ちでいっぱいです。初心に返り、教員になりたい学生さんや教員免許を取りたい学生さんの希望を大切にしたいと思っています。
この場を借りてこのページをご覧頂いている皆さんにお伝えしたいのは、教育学部の恩師から最終講義で教わったことです。
その先生は分子生物学者で、小学校の校長を務められた方です。私は、先生の最終講義の最後の場面で質問する機会を得て、「小学生から大学生まで接する中で、先生が最も大切にされていることは何でしょうか?」と質問しました。先生は「どの相手にも敬意を持って接することです。」とハッキリおっしゃいました。
私も、仕事では大学教員として、家庭では親として、仕事でも家庭でも日々色々な教育をする中で、「相手に敬意を持って接すること」がどの教育にも共通した大切なものの1つであることを強く実感しています。
現実の様々な教育の場面で相手に敬意を持って接することは決して簡単なことではありません。だからこそ「自分に自信を持つこと」が必要だと私は思います。これは、教職や教科に関する科目などを学んだり、教育実習などで実際に教育現場を経験したりすることで育むことができます。
相手に敬意を払う気持ちをいつも持っている教師はどの生徒たちからも信頼されるでしょう。是非本学の教職課程でそのような良い教師を目指してください。期待しています。
■研究業績リンク:
J-GLOBAL
山本 聡 教授
山本 聡 教授
(教職教育センター専任教員)教職教育センター副所長
■学位:
法学修士
■研究分野:
新領域法学/法教育/道徳教育/法と心理/憲法学/刑事政策/青少年問題
■研究内容:
裁判員裁判と法感情/未熟な子どもと刑事責任/昔話を素材にした法教育/正義の道徳と配慮の道徳等をテーマとして、法・道徳・倫理を俯瞰的に研究しています。法学や憲法だけでなく、知的財産権、生命倫理、教育行政、道徳教育など何でも教えています。
あおり運転や暴走運転事故の公判に遺族席に亡き母子の遺影を持ち込もうとして裁判所から拒否されました。被告弁護側が減刑のために被告人の成育歴や酌むべき事情等の証拠を提出する際には事実上の制限がないのに、被害者の「人生の一端(a quick glimpse of life)」を提示することは被告人に不当な重圧を与え、萎縮させ、言いたいことが言えなくなるというのです。心情が裁判に及ぼす影響(バイアス)の不思議を研究しています。また、説話や伝承・昔話と法教育の関係性、妖怪学と法の禁止機能の類似性なども守備範囲です。
■担当科目:
法学、日本国憲法、教育行政論、道徳教育の理論と実践、教育実習I・II、教職実践演習、教育パフォーマンス実践、教職概論
■卒業研究指導テーマ例:
・脳死臓器移植を巡るバイオエシカルイシュー
・クローン技術の人への適用を巡る問題
・ロックミュージックに見るカウンターカルチャーの大衆化
・日本アニメの産業化における世俗性と文化的価値
・禁煙の世界動向に対するJTのソフトイメージ戦略
・貸金業取締規制による個人向け融資の大衆化とその弊害
・学習障害児へのアニメーションによるイメージ化の試み
・ファイル共有ソフトの功罪とエンドユーザーのあるべき姿
・高校生の携帯電話利用に対する教育現場の対応策
・インクルーシブ教育の実現を目指して-中学校技術分野における指導の提案-
・中学教員の指導場面調査からみえてくる教師と生徒の関係性
■自己紹介:
学部時代、教職課程を履修しませんでした。なぜって、ずっと「教師なんて最悪な職業だ」と思わせる経験をしていたからです。でも、学部を卒業してサンリオという会社に勤めて初めて、自分は物を扱うのではなく人を育てる仕事に向いていることに気づきました。大卒程度で一生の仕事なんかわかるはずもありません。昨対のグラフ(売上グラフ)とにらめっこしていたサンリオ営業マンを1年で辞め、教員免許を取得するために大学院に入り直しました。大学院時代には問題児や障害を持つ子どもの家庭教師をやりました。児童自立支援施設に入っていた子の面倒(お金持ちの子なのに、神社のさい銭箱を燃やして補導されたのです。)も見ました。小3の軽い知的障害の女の子の家庭教師もやっていました。ある日、翻訳の下請け仕事が入り、行けなくなったのでその子の家に電話をかけました。たぶんその女の子が電話に出たのだと思います。無言の後ガチャっと受話器を着られるのです。しかも何度かけても切られるのです。私はカチンときて、数日間気になってしょうがありませんでした。次回の家庭教師の時にムカムカしながらその子を問い詰めました。でも「えへへ」というばかりで何も言いません。ある時、ふと新聞の番組欄に目を落とししたときにはっと思いました。ちょうど電話をかけた時間帯(夕方5時ころ)は「アンパンマン」をやっているのです。彼女にとっては、山本はおもしろいテレビを邪魔する悪い奴なんです。そりゃそうだよね。それ以来、不条理に見える子どもの行動には、その子なりの理由があるものだと悟りました。だから余計に、学校現場はタテマエばかりで教職で学んだことは活かされていないと実感することになったのです。10年余り高校の教員(社会科)をやりましたが、管理職との戦いでした(始末書を3回書きました)。規律と管理と杓子定規な教育を変えたかったのです。自分にはできるという変な自信がありました。教員に憧れてなったわけではありません。教育を変えたかったからです。生活指導部長と喧嘩をして「生徒指導室」に引きずり込まれたこともありました。処罰的な生徒指導を批判する行動を生徒とともに行なったりもしました。夏休みと冬休みには、新潟の山奥の廃校を借り受けてフリースクールを開校しましたが、あまりの積雪で断念した経験もあります。資格認定試験で小学校の免許もとりました。この大学に赴任してからも、国立国会図書館の客員調査員に公募し、英国子ども省(今やっと日本でも「子ども庁」を作ろうとしていますね)の専門委員を招聘して国際フォーラムを開き、国会議員や政策秘書と議論もしました。いまでも「きまりだから」という教育や地位の上下で人を判断する場に遭遇すると、心のどこかでカチッとスイッチが入る自分を感じます。「教わった先生がいい先生だったから」なんてノスタルジックな理由ではなく、「今の教育を変えてやるんだ」という気概のある人に教職を目指して欲しいなあ・・。
門田 和雄 教授
門田 和雄 教授
(教職教育センター専任教員)教職教育センター副所長
■学位:
博士(工学)、修士(教育学)
■研究分野:
工業・技術科教育/STEAM教育/機械工学の基礎教育/デジタルファブリケーション
■研究内容:
「機械技術教育の実践と研究」を活動の柱として,中学校技術科及び高校工業科のカリキュラム研究と教材開発,デジタルファブリケーションを活用したSTEAM教育の開発などに取り組んでいます。
■担当科目:
技術科教育法Ⅰ・Ⅱ・Ⅳ、教職概論、教育の方法と技術、教育実習Ⅰ・Ⅱ、教職実践演習、工業概論、木材加工概論、デジタルファブリケーション特論など
■卒業研究指導テーマ例:
・中学校技術科及び高校工業科のカリキュラム研究と教材開発
・デジタルファブリケーションを活用したSTEAM教育の開発
・珈琲焙煎機の開発
・水中ロボットの開発
■自己紹介:
工業高校機械科に22年間、教員養成大学技術教育講座に7年間勤務した後、本学へ赴任しました。これまで、技術教育と機械工学を中心に学び続けながら、学校や社会における、ものづくりの「場」を豊かにすることで、自分も結果的に豊かになる活動をしてきました。そのなかで、たくさんの教え子たちが、技術者や研究者、そして教員の道に進んで各地で活躍をしています。本学のように、高校工業科と中学校技術科の教員免許が取得できる学校は数少なくなっております。とても恵まれた環境のなか、教員志望の学生が一人でも多く教壇に立って活躍できるように尽力したいと思います。
■研究業績:
[査読付き論文]
・門田和雄,鈴木真生,統合的な問題解決型プラットフォームとしての全方位移動RCカーの開発,日本産業技術教育学会誌,第63巻,第4号,pp.389-397, 2021
・門田和雄,STEM教育を重視した台湾北部の自造者教育,日本STEM教育学会誌, Vol.2, pp.33-40, 2020
・門田和雄,猪股晃洋,長嶋 春樹:中学校技術科における教育用小型マイコンボードを活用したラジコンカーの開発,日本産業技術教育学会誌,第61巻,第4号,pp.297-304, 2019
・門田和雄,大友健司:中学校技術科「エネルギー変換の技術」における水圧駆動モデルの活用,日本産業技術教育学会誌,第61巻,第4号,pp.261-268, 2019
・門田和雄;高雄師範大学を中心とした台湾南部の自造者教育の動向,日本産業技術教育学会東北支部研究論文集,Vol.11, pp.15-20, 2018
・Kazuo Kadota, Development of Communication Robot for STEM Education by using Digital Fabrication,Journal of Robotics and Mechatronics, Vol.29, No.6, pp.944-951,Dec.2017
・門田和雄;学校現場に3Dプリンタを導入するための教員研修プログラムの開発,日本産業技術教育学会東北支部研究論文集,Vol.10, pp.9-15, 2017
[著書(単著)]
・メイカーのためのねじのキホン,技術評論社,2022
・新しい機械の教科書 (改訂第3版), オーム社,2021
・もの創りのためのやさしい機械工学(改訂第3版),技術評論社,2021
・門田先生の3Dプリンタ入門,講談社ブルーバックス新書,2015
田辺 基子 教授
田辺 基子 教授
(教職教育センター専任教員)
■学位:
修士(教育学)
■研究分野:
教育学/教職教育・教師教育学/教育方法学/教育方法史/授業研究/カリキュラム研究
■研究内容:
学校教育を中心として、教科や学校段階を超えてカリキュラム編成および授業の研究を行っています。社会や地域、子どもの実態にもとづいた新しい教材や単元の開発をテーマに、現場教員と共同研究をしています。継続的なテーマとしては、教育方法やカリキュラムの歴史研究、戦前における教師の実践記録と文学の比較研究をしています。そのほか現代的な課題として、理科・技術・社会科などの複合的な視点によるフィールドワークの開発、東日本大震災と子ども・教育、といったテーマに取り組んでいます。
■担当科目:
教育学、人文社会科学演習、教職概論、学校と教育の歴史、教育の方法と技術、教育課程論、教育実習Ⅰ・Ⅱ、教職実践演習、栄養教育実習、総合的な学習の時間の理論と実践、教職実践演習(栄養教諭)
■卒業研究指導テーマ例:
・遊びの探索活動における「手助け行動」の発生と親密な関係の形成および継続
・中学校数学における身近な事例を用いた教材開発-中学1年「平面図形」「空間図形」を題材に-
・中学軟式野球における打者指導の研究-「理論」・「身振り」・「オノマトペ」三要素の効果の検討-
・レスリング競技に用いるトレーニング機械の開発-基本動作における反応速度の向上-
・野球マンガを用いてゲーム要素を取り入れた高校野球の技術練習の効果
・バレーボール競技における声掛けとパフォーマンスの関係
・動体視力のトレーニングによる野球のバッティングの向上
■自己紹介:
じつは教育学を志したのは大学入学後でした。1年生の時に飛び入り参加した教育社会学ゼミのフィールドワークがきっかけです。戦前・戦後から現代に続く生活綴方の教育実践を調査するために、1週間ほど岐阜県恵那地域に滞在し、ベテランから若手まで、様々な教師や集落を訪ねました。学生のみなさんには、自分の意志でさまざまな場所・人に出会うことで、道を切り拓いてほしいです。
■研究業績リンク:
J-GLOBAL
佐藤 史緖 准教授
佐藤 史緖 准教授
(教職教育センター専任教員)
■学位:
修士(社会学)
■研究分野:
社会心理学/教育心理学
■研究内容:
思考スタイルに関心があり、たくさんの選択肢の中からどのように意思決定していくかについて研究を進めています。学校・大学場面では、進路選択や就職活動に関する意思決定過程について検討しています。
■担当科目:
心理学、現代社会の心理学、現代社会講座、教育心理学、生徒指導と進路指導、教育相談、教育実習Ⅰ・Ⅱ、教職実践演習、教職概論、栄養教育実習、教職実践演習(栄養教諭)
■卒業研究指導テーマ例:
・チームワークに関する要因の検討―パフォーマンスを高めるチームとは―
・「信頼できる教員」に関する要因の検討―視点の違いによる大学生のイメージ調査から―
・生徒の主体性を高める授業の検討―高校数学における「別解」を取り入れた授業案の試み―
・他者比較による劣等感の解消―積極的対処の提案―
・やる気を高める「声かけ」の検討―効果的な“ほめ”と“叱り”―
・高校生の質問行動に関する考察 ―情報科授業の実習体験に着目して―
■自己紹介:
中学生のときの出来事をきっかけに「心理学を勉強したい」と大学に入ってから、人間に対する関心がより一層深まっていると感じます。日々試行錯誤ですが、いつも「知りたい」「楽しい」という気持ちを大切に、好奇心旺盛でありたいと思っています。
■研究業績リンク:
J-GLOBAL